2003年1月6日月曜日

「喜多流職分会2003年1月自主公演能」(喜多六平太記念能楽堂・平成15年1月5日)

能「翁」
翁・香川靖嗣
三番叟・三宅右近
千歳・三宅右矩
後見・高林白牛口二・佐々木宗生
笛・松田弘之
小鼓・幸清次郎
小鼓・森澤勇司
小鼓・幸正昭
大鼓・安福建雄
地謡・内田安信・出雲康雅・長島茂・大村定・谷大作・佐藤章雄・友枝雄人・粟谷充雄・粟谷浩之

翁を未だ観る機会がなかったのだが、香川靖嗣さんの翁が観れるということで、喜多流自主公演の 初会に出かけた。
能の囃子を聴いていると体が温まり、凝りがほぐれていく感じを味わうことが時々ある。 翁はそうした意味では特別なもののような感じがする。何も無いところに舞が空間を形成し、 囃子が時間を生成するという感覚が非常に生々しい。どこか体の奥にしまわれていた記憶が 呼び起こされるような、こつこつとした外部感覚、それに反応する身体感覚を享受している ように思われる。具体的な状況を伴わないという点ではもっとも抽象的で、しかし、 それゆえもっとも自分の私的な領域の経験として享受することのできる、やはり翁は 特殊なものであると感じられた。

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